RTK観測条件について、検証実験

ネットワークRTK の観測条件について、検証実験

RTK test

ネットワークRTK測位において、測定条件の違いによる観測結果の変化について検証してみました。

配信業者間の違いについて

配信業者の違いによる測位結果の差について検証しました。長岡市内の3級基準点3か所をそれぞ れ午前・午後・夕方観測しました。3か所×3時間帯・合計9観測の較差の標準偏差は以下の通りです。

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水平方向に関しては、A社・C社がほぼ同じで、B社がやや劣る傾向にあります。垂直方向に関しては、C社が良好です。
地殻変動による補正は各社方法が異なりますので、場所による得手・不得手はあります。どの地域においても、 上記の差が出るとは限りません。

仰角マスクの設定による観測結果の変化

低仰角の衛星は、マルチパスの影響を大きく受けて測位精度に悪影響を与えます。準則によれば、 仰角15度以上の衛星のみを使用する様定められています。
仰角マスクを上げればマルチパスの影響を低減させることができますが、上げ過ぎると捕捉でき る衛星数が減ってしまいDOPが悪化します。仰角マスクを15-20-25-30度と変化させて、観測結果 に与える影響を調べました。

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仰角マスクですが、15~20度を超えてマスク角度を上げるとPDOPが劣化します。
ほとんどの場合、15度設定で十分でしょう。

DOP値の変動が観測結果に及ぼす影響について

衛星の数および配置によって誤差(特に高さ方向)が影響を受けます。衛星配置の測位精度への 影響度を示す指標をPDOPといい、理想値は1です。各配信会社のページから、特定の場所・時間帯 におけるDOP値を確認することができます。DOPが悪くなる時間帯を選んで連続観測を行い、測位 座標の変動を確認しました。

RTK test
RTK test

DOPが良好な時間帯では、水平方向のばらつきは2cm程度、高さ方向は3cm程度で推移しています。 RTKにおいて高さ方向のばらつきは水平方向の2倍程度とされていますので、通常の範囲であると 考えられます。16:20ごろからDOPが悪化しますが、それに伴い特に高さ方向の測位結果が変動し てくることがわかります。

DOPの悪化は、衛星配置の悪化や切り替わり(一部の衛星が地平線に沈んだり、新たな衛星が昇っ てきたりする)のタイミングで発生します。正確な測位を行いたい場合は、DOPの良好な時間帯を 狙って観測することが重要です。
精度よく観測したい場合、 PDOPは2以下を確保した方がいいでしょう。

周辺交通量が観測結果に及ぼす影響について

比較的交通量の多い場所での観測を想定して、車両の往来がどの程度影響するかを調査しました。
新潟バイパス(片側3車線、交通量:98,000台/24時間。全国TOP10に入る場所です!)において、 交通量の少ない時間帯(深夜)と多い時間帯(日中)で比較しました。衛星配置の違いによる精度悪化の影響を無 くすため、観測は共にPDOPが1.4~1.7で良好に推移している時間帯で行いました。

RTK test

写真の通り、新潟大橋の北詰で観測しました。周辺に建造物は無く、比較的上空は 開けていますので、誤差が発生すれば交通量によるものと判断できます。

RTK test

交通量が多くなると、その影響で水平方向・高さ方向共に影響を受けることがわかります。